宸殿の奥に進んでいくと、「虹の間」と呼ばれる高い天井の広間に出る。
虹の間の奥には一段高く「玉座の間」が設けられている。ここは門跡寺院として、天皇陛下がいつ来られても良いように備えておくためのお迎えの間である。ここで注目して欲しいのが、玉座の間と私たちのいる畳の間の境目にある、10cmほどの段差だ。
この段差の向かって右側、白い壁面に小さく水草が描かれているのが分かるだろうか? 水草が確認できたら今度は左側の襖を見てみよう。そこにはうっすらと虹が描かれている。私たちがいる畳の間から生えている水草の絵と、そこから伸びる虹。つまり足元の畳は池の湖面を表しているのだ。
虹は玉座の間に座る陛下の威光から生まれたもの。皇室の一族は太陽の神である天照大神(あまてらすおおみかみ)の血を引いていると伝えられているので、皇室出身者の門跡もその血を引いている。そう考えると、あながち大げさな演出ではないのかもしれない。
虹の間を見た後は三千院のハイライト、苔むす有清園(ゆうせいえん)と往生極楽院へと向かおう。