有清園:往生から極楽への仮想体験

宸殿の正面に立つと、そこには一面緑色の苔で覆われた庭「有清園」が見える。庭の奥に見える建物は「往生極楽院」で、平安時代に建てられた建物だ。

次に目指すのは往生極楽院だが、ここで一息置いて、庭をより楽しむためのお話を伝えたい。

先ほどお伝えした「往生極楽院」という名前だが、これに少し違和感を感じないだろうか?「往生」「極楽」という言葉は「極楽往生」と並べられることが多いが、三千院では「往生極楽」と逆さになっている。実はこの名前に仏教の世界観を伝える仕掛けが隠されているのだ。

宸殿から有清園を通って往生極楽院に向かう道のりは、人が「往生」してこの世を去り、幸福に満ちた「極楽」に向かう道のりを仮想体験できる装置になっているという。

宸殿にまつられている薬師如来は現世を見守る仏様。前方に広がる有清園は「瑠璃光庭」と呼ばれ、薬師如来の浄土を表している。庭を抜けた先にある往生極楽院には人々の来世を見守る阿弥陀如来がおられ、ここに現世と来世が表現されているのだ。

有清園は、春は山桜とシャクナゲが咲き乱れ、夏は新緑、秋に紅葉、冬は雪景色に包まれる。四季折々に美しく姿を変える庭を楽しんで欲しい。

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