この部屋は、正殿とその裏にある御内原=大奥との境目にあたる。

ここから先は女官が取り仕切る女の園。男子禁制であるため、御内原に用があるときは、この近習詰所で待機している役人に要件を取り次いでもらう必要があった。その逆もしかり。御内原にいる女たちが正殿側にいる男たちに用がある場合も取り次ぎが必要であった。

そのための呼び鈴となるのが、目の前のロープである。ロープを引くと向こう側で鈴が鳴り、向こう側にあるロープを引くとこちら側の鈴が鳴る。この場所では取り次ぎのための役人が20人ほど働いていたという。

王の1日を紹介しよう。

場内の鐘が鳴り響く朝6時。目を覚ました国王はまずトイレに向かう。そのあいだに女官が用意した洗面セットで顔を洗って歯磨きを終えると、女官に髪を結ってもらう。そして、正殿で朝のお祈りを済ませると、二階御殿で朝食を。

その後、仕事服に着替えて職務にあたる。仕事の合間に奥書院で休憩したり、庭園を散歩することもあった。午後2時に昼食をとると、午後も再び仕事や接待。暇があれば、家臣を呼んで囲碁を打ったり、歌を詠んだり。もちろん、識名園など城外に出かけることもあった。

夕方になるとお風呂タイム。部屋着に着替えて二階御殿で夕食をとる。このとき、ちょうど日没を知らせる鐘が鳴ったといわれ、首里に住む人たちもまたその鐘にあわせて夕食を食べたという。

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