黄金御殿は国王と王妃の部屋。
黄金御殿の奥には国王のリビングである「二階御殿」や、キッチンを備えた「寄満」があり、100人ぐらいの女性たちが国王とその家族の暮らしを支えていた。これらはいわば大奥のような空間であり、総称して「御内原」と呼んでいる。御内原は男子禁制であり、男が侵入した場合は「無期懲役の島流し」という厳しい罰が待っていた。
御内原については、のちにあらためて紹介しよう。
国王(王子)は16歳ぐらいで結婚する。が、王妃となる女性はどのようにして選ばれたのか。
実は、オーディションである。資格としては、まず有力な血筋であること。年齢制限もあり、10歳ぐらいの少女で才色兼備が求められた。審査員は役人と女官たち。国王も簾の奥からこっそりのぞいていたとか。
会場に勢ぞろいした候補生はまず、庭で遊ぶよう命じられる。鞠付きや片足跳び、2人1組で手を引っ張りあってぐるぐるまわるような遊びをして、審査員は性格や健康状態をチェックする。
次に、室内に通して歩き方などの立ち振る舞いをチェック。さらに食事を食べさせてマナーをチェック。続いて、個人面接。教養や言葉遣いなどをチェック。こうして審査を進めるうちに候補生は2,3名にしぼられる。
そして、いよいよ最終審査。王妃の座を目前とした候補生は、ある一室に案内される。そこで好きな座布団に座るよう命じられるのだが、実は、座布団の下にはあらかじめ、ひとつの「黄金の鋏」が隠されている。王妃になるべき女性はおのずから黄金の鋏の上に座るといわれ、つまるところ、最後は時の運に委ねられていたのであった。