沖縄といえば?
そう聞いて、いちばんに挙げられるのは「シーサー」かもしれない。
駐車場の奥に見える赤瓦の屋根に「動物の像」があるのがわかるだろうか。沖縄の建物にはシーサーが「魔除け」として飾られていることが多い。が、そもそもシーサーとは「ライオン」である。
沖縄にはかつて存在したこともないライオンは、古代オリエントよりシルクロードを横断して中国からこの島に伝えられた──思えば、同じようなルートで伝わったシンガポールのマーライオンともよく似ている──。中国ではライオンのことを「獅子(しし)」と呼ぶが、その発音が変化して「シーサー」になったのだろう。
と、ここまで「日本」は一度も登場しない。琉球王国はひとつの独立した国家であり、貿易国として栄えてきた歴史がある。それを象徴しているのが、このシーサーなのかもしれない。まずは、このシーサーを伝えたとされる中国との関わりをたどってみよう。