この泉崎交差点のあたりには、久米村大門(クニンダウフジョー)という門があり、波上宮の手前にある西武門(ニシンジョー)まで大通りが伸びていた。ここで覚えておいてほしい。沖縄の言葉で北の方角のことを「ニシ」という。あてられた漢字によってはややこしいことこの上ないが、西武門とは「北門」のことなのだ。
中国のしきたりを守っていた久米村の人たちは、風水による町づくりを大切にした。風水とは、物の位置によって「気の流れ」を良くしようとする思想である。風水によると、久米村大門は龍の頭、西武門は龍の尻尾。もっといえば、目の前にある二つの石は龍の目。二本の木は龍の角をあらわしている。そして、そのころは川の向こう側に「仲島の大石」が見えた。この大石を龍が持つ「玉」であると考えたのだ。
とはいえ、仲島の大石は別の町内のものだった。久米村の人たちは嘆願した。「この大石は久米村の風水にかかわるので、久米村の所管にしてもらいたい」と。王府はそれを認め、仲島の大石は飛び地として久米村に属することになった。これほど大事にされてきた風水である。これまで歩いてきた道のりにも様々な風水が隠されていたはずだ。