湯島の先にはもうひとつの島があった──

いつのころからか、その島に「弁財天」がまつられるようになっていた。日本では弁天様は水の神様であり、湧き水が湧くところにまつられることが多い。きっと、温泉が湧くこの地にもふさわしいと考えた人がいたのだろう。

ところで、弁天島の沖には大きな亀がいたという伝説がある。その亀はときに海面にあらわれ、あまりの大きさに舟が通れなかったという。和倉の沖で舟が難破すると死体があがってこないのもこの大亀のせいだといわれ、地元の人にはだいぶ怖れられていたようだ。

Next Contents

Select language