明治時代の終わりに皇太子が和倉にやってきた。そのとき、ここに「御便殿」が建っていた──

御便殿とは、天皇をはじめとする皇族の方が、地方にお出かけした際の休憩場所として設けられる建物のこと。当時の天皇は神様のような存在であり、神様のために用意した建物をわれわれ人間が利用するのは畏れ多いことだったのか。御便殿は、その役目を終えたら速やかに取り壊さなければならないというのが常識だった。

しかし、和倉温泉ではどういうわけか特別に残された。どれくらい特別かといえば、全国に現存する御便殿は2箇所しかない。しかも、実際に御便殿の中を見ることができるのは和倉だけ。かつてはこの地にあったことを記憶して、移築された御便殿を見にいこう。

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