海外の建築家はこの建物を見てうらやむ。東京は「なんでもあり」だからだ。こんな裏道で名建築と出会える。それも、隣にあるのは普通の建物なのだから尚のこと信じられない。イギリスやイタリアなどヨーロッパの都市では街並みを統一するための厳格な法律が定めれられているのが常識なのだ。
独特のパイナップルのような形をした構造体は「地獄組み」と呼ばれる。驚くべきことに、スキンとしての装飾ではなく、木材の組み自体が建築としての構造体になっているという。それは、建物の中に入ってみるとよくわかる。見学だけでも快く受け入れてくれるので、安心してドアを開けてみてほしい。
そして、海外の建築家たちは二度驚く。今度は、日本の大工のクラフトマンシップに。まるで組木細工のように緻密。床、壁、天井。どこを見ても釘の数は少なく、木と木の組みあわせによって噛みあう工夫がなされている。
写真:DAICHI ANO