一度見たら忘れられない建物とは、このような建築を言うのだろう。ガラス張りの壁面は一部が膨らんでいて「三次元」になっている。それによって光はゆがみ、建物は輝きを帯びる。その姿はまるでクリスタルが輝いているようでもあり、まわりの建物が「プラダ」を引き立てるように映りこんでいる。

光のやわらかさは、生地のやわらかさを暗示しているようでもある。さわり心地を外から感じさせているのだとすれば、それもまたプラダが特別なファッションであることを際立たせていると言えるだろう。

建物の内部も壁面と同じ「ひし形」で統一されている。それも角に丸みを帯びたやさしい形。天井も壁も床もすべてが白で統一された空間は、雨の日でも濁ることはない。多くの人の視線を集めるこの建物はその中身をこそ引き立てていることに、やはり違いはないのかもしれない。

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