表参道ヒルズは「大型商業施設」である。しかし、外から見ると「商業施設らしい大きさ」を感じない。その高さは街路樹のケヤキ並木よりも低いのだから。そのかわり、地下を深く掘ることで商業施設に求められる大きさを確保している。まだ中を見たことがなければ、さっそく入ってみてほしい。

注目すべきはやはりグルグルと回りながら下降していくスロープ。実はこの坂道、外にある坂道と同じ角度で傾斜している。表参道の坂道を下るのと同じ感覚で下っていけるようになっているのだ。

この場所にはかつて日本初期の鉄筋コンクリート集合住宅である「同潤会アパート」が建っていた。建築は変わるべきか、守るべきか。そういった論争もあるが、あなたはどう思うだろう。この建物はその意味でも注目すべきところがある。表参道から向かって右側。アパートの一部を「同潤館」として残しているのだ。

建築家の安藤忠雄は鉄筋コンクリートの巨匠と言われる人物。古い鉄筋コンクリート建築と新しい鉄筋コンクリート建築。対比するその姿も見所である。