「透き通るように白い」という言葉は、この建物のためにあるのではないだろうか。その壁面はガラスとアクリルの二重構造になっていて、中からの光と外からの光が影響しあい明るさを際立たせている。具体的に言えばどういうことか。実は、ガラスの裏側にあるアクリルはドレープのように波打っている。そうすることで内外の光が反射してゆらめくのだ。
ガラス自体も特別だ。通常のガラスだと緑色に透けて見えるところを、透明度の高いガラスを使うことで白さを損なわないようになっている。大胆な横ストライプはフロアの境目をあいまいにしていて、光のカーテンに覆われた建物を、より秘密に満ちたものにしている。
ちなみに屋上にある星は世界中のディオールで見られる「旗艦店」のシンボル。「Dior」の文字は白色のLEDでサイズも小さい。看板の打ち出し方はブランドのエレガンスがあらわれてくるところである。
写真:TAKUMI OTA