実は、建物全体に「T」のマークが使われていることに気づいただろうか。建物を正面からよく見てほしい。ガラス部分以外の白い壁だけを見ると、建築全体から「T」の文字が浮かび上がるのだ。さらに壁面にバスケットのように編みこまれた柄もまた「T」で構成されている。つまり、大胆かつさりげなく建物全体がサインとなっているのだ。
建物の内部空間は住宅のスケール。まるで家の中にいるような感覚でくつろげる。ガラス越しに隣の建物が見えることで、そこに行ってみたい気持ちにもなるだろう。すると、建物と建物の間に小道があり、一度外に出られるようになっている。同じ床が続いていることで建物どうしのつながりも感じられるはずだ。それこそまるで、本のページをめくるように。
果たしてこの施設は代官山の街に受け入れられたのか。その答えは、大勢のお客さんがくつろいでいるその姿が証明しているのかもしれない。
写真:Nacala & Partners