この橋にはいつも釣り人がいる。橋の上から身を乗り出して釣竿を垂らしているのだが、釣竿の先にはなんとエサがない。針だけで釣っているのである。これは「タカバネ」と呼ばれる釣りかたで、橋の上から魚の群れを肉眼でチェック。そこに針を垂らして引っかけるという、実にシンプルな釣りなのだ。

ちなみに引っかけることを「しゃくる」といい、夏になると川べりで、あるいは川の水に半分浸かりながらタカバネと同じ要領で竿をふる「しゃくり漁」も見られる。いずれにせよ、魚を目視できるほどきれいな川でしかできない釣りであろう。

「めっぽう」といって、もはや何にも見ないで適当に針を投げる釣りもある。めくらめっぽうの「めっぽう」というわけだが、それでも1日に50匹釣るような人がいるらしい。これはもう、単にきれいな川という話では済まされない。それほどたくさんの魚が棲むことができる、実にゆたかな川なのだ。

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