ここは仏ヶ峠ではない。しかし、ここから坂道をずっと登っていくと「仏ヶ峠」がある。レンタカーで行くような場所ではないと思い、ぼくたちは断念したが、運転が得意であれば車でいけるはずだ。

その昔、土佐の名産は「紙にサンゴに鰹節」と歌われた。筆頭に挙げられている土佐和紙、その発祥の地が、この成山である。仏ヶ峠には「紙業界之恩人新之丞君碑」と刻まれた石碑があるが、そこには、こんな物語が隠されている。

400年ほど前、村人がこの山で行き倒れていた「新之丞」という男を助けた。すると、新之丞は恩返しにと和紙の作り方を彼に教え、村にいた染色の職人とともに「七色紙」を完成させた。これを藩主に捧げたところ、藩の特産物として保護されることになった。しかし、新之丞が恩返しも済んだので国に帰ろうとすると、藩の密命を受けた何者かが、この仏ヶ峠で新之丞を殺してしまったという。一財を成した七色紙という秘伝が他に漏れるのを恐れてのことだったという。

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