コーチから聞いた話がある。「田舎での店選びはスポーツ選手がよく行くお店がいい。そこはうまいんだ」と。大正軒のお店の入り口には野球選手たちのサインがずらっと並ぶ。
ここのウナギは何より肉厚、濃厚。外側の皮がパリッとしていて、炭の香りを纏っているのが甘いタレと相性抜群。高知のウナギ屋のほとんどが養殖ウナギであるが、ここのウナギもまたしかり。しかし、大正軒では予約の際に頼んでおけば天然ウナギも食べられる。料金は倍ほどかかるが、それでも天然のウナギが食べられるのは貴重である。
ただ、養殖でも十分においしい。なぜか? それはウナギの鮮度にある。大正軒がほかのお店と大きく違うのは、仁淀川の元となる山から湧き出た伏流水を、お店に直接引いていること。仁淀川の河口で育った生きた養殖ウナギを運び、その水で飼っている。そしてお客さんに出す当日に、ウナギをさばくのだ。だから、新鮮。
最後にもうひとつ特筆したいのが、ウナギのお供である山椒。このあたりの山椒は真緑の色が特徴で、たくさんかけても痺れは少ない。一方でその香り高さに驚く。お土産用にいくつも購入してしまうほどに。
ちなみに、大正軒に行くには予約が必須。天然のうなぎを頼まない場合でも事前に電話しておこう。