順路に沿って歩くと、右手側につくばいと水琴窟があります。
この水の音にも禅の教えがあるのですが、なんだと思いますか?

まずは実際に竹に耳を近づけてみましょう。お琴のような音が聞こえませんか?この音は、地面の中に埋めてある素焼きの信楽焼の大きなかめから発しているもの。水の雫がかめの内部に反響してきれいな音が鳴ります。今でこそ各地にある水琴窟ですが、その発祥は京都。とある庭師さんがつくばいで手を洗うだけではおもしろくないということで考案されたそうです。

実はこのエピソードが禅の教えにつながります。というのも、禅宗には「手元にあるものを活かしなさい」という教えがあります。つくばいは手を洗うための鉢ですが、手を洗った水を水琴窟に通せば、綺麗な音で楽しませてくれる。無駄なものなんて何一つありません。

昔、私が道場の庭掃除をさせてもらった時のことです。先輩に「集めたゴミはどうしたらいいですか?」と聞いたところ、大変怒られました。先輩はこう言うんです。「木の枝はごはんを炊く薪になる。葉っぱは集めておいたら肥やしになる。砂や石は集めて轍に埋めれば轍がなくなる。これをどう活かすか工夫することが禅の修行になのだ」と。水琴窟は一例にかすぎません。禅のお庭とは、そこに教えが込められているもの。皆さんもこの庭からあなただけの、禅の教えを見出してください。

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