本州最南端の町、串本にある日本一小さい美術館。串本応挙芦雪館には「展示室」「無量寺本堂」「収蔵庫」と、大きく3つの建物がある。

あなたの目的は、あの「虎の絵」を見ることだろうか?

もしも、本物を見たければ「収蔵庫」。作品は厳重に保管されており、湿気対策のため雨の日は扉を開けることもできない。なおかつ、乾燥防止のためエアコンを設置していないので、夏は暑くて冬は寒い。しかし、だからこそ、晴れた日には、ガラスケースの向こう側ではなく、直に本物を目の前にすることができる。

たとえ雨が降っていてもガッカリする必要はない。むしろ本物より興味深いのが、「無量寺本堂」に再現された襖絵といえよう。最新のデジタル技術でプリントされた襖絵は、本物との違いが素人目にわかるものではない。なにより、芦雪が描いた当時の空間、当時の配置で襖絵を見ることができる。それによって、この場所にある空間をどのように活かすのか。そのことを考え抜いた芦雪の意図が明らかになるのだ。

ただし、収蔵庫や無量寺本堂を見る前に訪れてほしいのが、この「展示室」だ。ここでは、襖絵をのぞいた作品群が展示されているほか、襖絵を見る前に知っておきたい情報をまとめたビデオが上映されている。まずは、この展示室のビデオで予習をして、想像をふくらませるための手がかりを見つけてほしいと思う。

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