古道具に宿る妖怪「付喪神」が一気に増えたのもこの時代。万物に魂が宿るというアニミズムの対象は、もっと前の時代から京都の貴族の楽器や古道具に拡張していたけれど、庶民と妖怪の距離が近くなってからは、より一般の家庭の道具や家具、あらゆるところに付喪神が生まれるようになったわ。

日本の人たちは同じ道具を百年使い続けたら精霊になって動き出すと信じていて、九十九年で捨てていたの。でも家具だって捨てられたり、雑に扱われたりしたら恨む。それで妖怪に化けたの。茶釜や水差し、琵琶、箒やはさみ。ありとあらゆるものが妖怪になって、夜の集まりを楽しんだ。人間に悪さをすることで復讐しようとしたけど、結局退治されてしまう話が多かった。

江戸時代は人間が私たち妖怪よりも力があると考え始めた時代だったんだと思う。恐れなくなったから娯楽の対象になったし、屏風や着物の柄にも取り入れた。この頃から貨幣が流通するようになって、人間は神様にだってお賽銭を払えばご利益がもらえると思い始めたみたい。江戸の人間たちは、よりご利益がありそうな神様がいれば次々と乗り換えるし、妖怪なんていないけど、いることにして楽しめばいいと言ってた。人間が妖怪のことをオナラで吹き飛ばしている絵まであってなんだか呆れちゃう。

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