ここ小豆島は妖怪が集まりやすい場所だと思う。巨大な石や木、謎に包まれた遺跡、そういう古代からの自然信仰の名残がいくつもあるし、江戸時代より前から隠れキリシタンたちが住み着いていた。もちろん仏教も。空海を本尊とする小豆島八十八ヶ所めぐりには、いまも毎年多くのお遍路さんがやってくる。島の八幡神社に太鼓台を納める祭りがあって、そのときの島民たちの盛り上がりといったら。

この島にはあらゆる信仰を受け入れてきた寛容さがある。妖怪が住みやすいのは寛容で平和な場所。最近の妖怪はとくにゆるキャラが多いし、争いに巻き込まれたらたまらない。

それに迷路の道、細くて、くねくね隠れるところが多くて、いかにも見えないモノたちの気配が漂ってこない? ここには私たちの住む、異世界への扉がある。

あら、聞こえるかしら。それにしてもすごい足音ね。あいつもつい最近この島に住み着いた妖怪よ。

さぁ、扉を開けて中へ入りましょう。

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