日本には形から入るという言葉があります。
心だけ正しければ問題ないと思うかもしれませんが、それだけでは不完全。
誰だってその時の状況で、心が揺れるもの。
辛い時、悲しい時、舞い上がってしまう時。
そんなときに、形がしっかりしていると、正しい方向へと導いてくれます。
初心に戻りさえすれば、それに従って心がついてくるのです。

ここでは、禅の基本となる正しいカタチを紹介します。
必ず、この方法ですべきということではありませんが、
カタチから入ることが大切だということは日本人的な発想。
心が揺れたときには、きっとこのカタチが手助けしてくれるはず。


<正しい形で座ると、心が乱れない。座禅の仕方>をご紹介します。

1:ゆったりできる、気持ちいい格好で

座禅をする前の下準備。着る服はできるだけゆったりしたものを選び、裸足になりましょう。ネクタイや腕時計など体を締め付けるものは極力外す方がベター。
そして座禅をする際に、整えることは3つ。それは姿勢、呼吸、そしてこころです。姿勢と呼吸を整えると、自然とこころも落ち着くもの。まずは、姿勢の整え方から紹介します。

2:座り方の姿勢から。足を地面につけてカラダを安定させる

はじめに、座布団やクッションを用意。座る前にお礼をします。
その上にあぐらをかいて座ります。

2-1:結跏趺坐

左の足を右の膝の上に、右の足を左の膝の上に乗せます。これを結跏趺坐と言い、足が地面と接する面積が大きく、背筋が伸びやすい姿勢です。

2-2:半跏趺坐

カラダが硬くて難しい場合は、片方だけ乗せてみてください。左足を右の膝の上に。または、右足を左の膝の上に。これは半跏趺坐と言います。

コツは、自分がまるで富士山になったつもりで座ること。

4:体の位置を決める

次は重心を整えます。カラダを前後左右、ゆっくりと揺らします。まっすぐ立てる位置を見つけたら背筋を伸ばします。顎は引きましょう。

5:目は半分開けて、少し前を見る

視線は少し前。だいたい1メートル斜め前くらいを見ます。このとき、目を瞑るのではなく半分開けるくらいに。

6:口の動き

口の中は、空気などが入らないよう、ほどよい緊張感をつくります。舌を上唇に軽く押して、歯は閉じます。

7:呼吸を整える。おへその下10cm(丹田)でゆっくりと、呼吸をする

お腹から呼吸をするのがポイント。ちょうどおへその下10cmあたり(丹田)に意識を集中して、ここで呼吸をします。

8:吐いて、吸って、ゆっくりと深呼吸

カラダの空気をすべて出すように、ゆっくりと息を吐きます。そして、吐き終わったら吸います。ゆっくりと長く、深呼吸をするようにしましょう。

9:「去るものは追わず、来るものは拒まず」最後は心を整える

心に邪念が現れたら、追いかけずに、流れていくのを待ちましょう。ちょうど、車の中から景色を眺めるのと同じように、邪念を傍観するのです。次々に現れても、ただ流していくのです。去るものは追わず、来るものは拒まず。
それでもまだ邪念が生まれるというのなら、ぜひ呼吸に集中してみてください。吸って、吐いて。吸って、吐いて。息を吐いていちーー、もう一度吐いてにーー。このように数えて10回に到達したらまたいちから数える。これを数息観と言いますが、自然と考えていないことに気づくはず。


習うより体験することを大切にしている禅。やることにこそ意味があるのです。
京都に訪れた、旅先でのこの機会にぜひ挑戦してみては?
ここからは京都にある、禅を体験できるお寺、そして禅の精神を学べるお寺をピックアップしてご紹介します。一つでも、実際に行ってみてはどうでしょうか。禅の根本をなすのは、体験することなのですから。

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