日本で禅のルーツのひとつになり、約800年の歴史を持つ建仁寺。法堂から外に出てみると、目の前に生垣があり、1本の木が生えています。その木が何か、皆さんはご存知でしょうか?実は「お茶の木」。なぜ、禅のお寺にお茶の木が……。多くの人が疑問に思うかもしれませんが、禅とお茶は密接に関わり合っているものなのです。

まず、禅の歴史を説明しましょう。禅が日本に広まったのは鎌倉時代。中国・宋で禅を学んだ僧侶の栄西禅師が日本に禅を持ち帰り、京都に建仁寺を建立。そこで臨済宗を開いたことで、禅が広まっていったとされています。これが京都最古の禅寺の起源です。

栄西禅師が禅とともに、中国・宋から持ち帰ったのが「お茶の種」。お茶自体は奈良時代に日本に入っていましたが、当時は一部
の僧侶や貴族しか口にできない貴重品。栄西禅師はお茶の種を持ち帰ると、日本で栽培や喫茶の方法を広めたほか、日本初のお茶の専門書「喫茶養生記(きっさようじょうき)」を著し、お茶が一般の人にも楽しまれる下地を作りました。栄西禅師は「茶祖」とも呼ばれ、だから建仁寺の境内の至る所にお茶の木が植えられています。

現在は嗜好品として多くの人が口にしているお茶ですが、当時は「薬」として日本に伝わってきました。栄西禅師は著書で「茶は養生の仙薬 延齢の妙術なり(お茶は身体を健康に保ち、寿命を永らえるための薬である)」と述べています。

禅文化とお茶文化。一見、関係がなさそうに見える2つの文化ですが、実は栄西禅師が両方とも日本に伝え、そしてここ建仁寺をきっかけに普及していったのです。禅とお茶の歴史を味わう旅を建仁寺でしてみてはいかがでしょうか。

※建仁寺では、オーディオガイドをON THE TRIPで用意しているので、ぜひON THE TRIPの建仁寺ガイドを使いながら境内をめぐってください。

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