龍安寺の最大の見どころは枯山水庭園。Apple創業者のスティーブ・ジョブズが来日した際この庭園を見るために訪れ、禅を行ったと言われています。また、イギリスのエリザベス女王が日本を公式訪問した際、その石庭を絶賛したことが海外のマスコミでも報道され、現在では「ロック・ガーデン」として世界的に有名な日本庭園となっています。
この枯山水庭園には、15個の石が配置されていますが、その数に意味があります。15とは、七五三を足した数字でもあり、十五夜の満月もそうですが、日本では完全を表す数字。そしてこの庭には仕掛けがされており、どの角度から眺めても必ず1個の石は他の石に隠れて見えないように造られています。なぜ、あえて1個の石を見えないようにしているのか。
これは、日本には昔から「物事は完成した時点から崩壊が始まる」との思想があることから、あえて「不完全」な庭にしたと言われているのです。
龍安寺にはこのメッセージを表現しているものが、もうひとつあります。それは銭形をした知足のつくばい。上下左右に「五・隹・疋・矢」の四文字が刻まれており、中央の水穴を口の字に見立てることで「吾(わ)れ、唯(た)だ、足ることを知る」と読むことができます。
「吾唯足るを知る」という言葉はできない事を不満に思わず、満足する心を持つことの大切さを説いたもの。1度に14個の石しか見れないことを不満に思わず、満足する心を持つべきという戒めの意味が込められているそう。
人間の欲はどこまでいっても尽きることがなく、追い求めてしまえば、永遠に満足することはできません。そうではなく欲を捨てることで、平安を保てるようにする。龍安寺からは、そんな教えを学ぶことができます。