禅では、体験こそがすべてだと言われています。それは世の中にあることは自分で明らかにする必要があるから。すべての物事は、自分の中を通って感じる。だからこそ自分を知らなければいけません。自分で体験し、探求し、こう感じるんだ、ということと向き合わなければいけないのです。インナートリップを通して自分を発見するプロセスこそが最も大切になります。
京都では一般の人向けに坐禅会を行っている寺院が多くありますが、妙心寺の敷地内にある春光院の特徴は英語で禅を体験できること。アメリカに在住経験のある副住職・川上全龍さんが“英語”で禅の説明をすることもあって、訪日外国人が多く参加しています。週4~5日ほど実施し、9:30~11:00の間で坐禅が体験できます。
坐禅を始める前に、まずは川上さんから坐禅を行う目的、禅の歴史、座り方、呼吸法について説明があります。説明の中で川上さんは「疑問を持つ」ことの重要性を説きます。普段の生活で当たり前だと思っていることに対して、「本当にそうなのだろうか?」と疑問を持ってみる。そうすることで、新たな視点や気づきを得ることができます。
一通り説明が終わった後、質問の時間があり、参加者は気になったこと、疑問に思ったことを質問していきます。海外からの参加者が多いこともあり、この質問の時間では海外の人が感じる禅の疑問などを聞くことができ、意外な視点も得られます。
坐禅は足を組んで姿勢を正し、畳に座って行っていきます。坐禅をする上で大切なのは姿勢を正して集中すること。呼吸も腹式呼吸で、長めに息を吐くことを意識しましょう。目を瞑って、背筋を伸ばし、呼吸を整える。一瞬、一瞬に集中し続けていくことで、普段の生活では気づけなかったことにも気づけます。例えば、自分の中にある雑念、周りの空気や音などがそうです。坐禅は鐘の合図が鳴ってから約20分間行われます。普段の生活で20分間も、今その時に集中する機会はないでしょうから、貴重な機会となるはず。
春光院での坐禅体験は2時間で3,000円となっています。坐禅体験の開催日はホームページのカレンダーから確認でき、予約もホームページから行えます。