雪国A級グルメを象徴する 10枚の写真から食べたい 「一品」を選んでほしい→

食べたい一品を選んだら、実際に食べに行ってみてほしい。それぞれの一品について詳しくはインタビューした内容を記録している。その際に「美味しさの背景」と言える風景についても尋ねてみた。

それら「一から十」のスポットには江戸時代の雪国の生活を伝えた「北越雪譜」の朗読を収めている。ドライブ中のBGMでもかまわない。朗読を聞きながら旅することで雪国の風景を思い浮かべてみてほしい。そうして、雪国A級グルメの美味しさを雪国の風景とともに心に残してもらえたらと思っている。

※江戸時代の読み下し文を現代語訳するにあたり、かなり思い切ってデフォルメをしている。間違いもあるかもしれない。朗読によって興味を持ってくれた方はぜひ「北越雪譜」の原本を読んでみてほしい。

雪の深浅

中国の歴史書『春秋左氏伝』には、「平地に一尺(つまり約30センチ)積もることを大雪と呼ぶ」と書かれている。これはその国が暖かい土地だったからだろう。唐の文人・韓愈が「雪は豊作の瑞兆」だと言ったのも、暖かい国だからこその話だ。とはいえ中国でも、寒い地域では八月でも雪が降ると『五雑組』には書かれている。

暖かい国では、30センチに満たない雪でも、山や川や人里はたちどころに銀世界となる。雪が飄々と舞う様を見て、それを花にたとえ宝石に比べ、雪景色を愛でつつ酒や音楽を楽しみ、絵に写し言葉で表して称賛するのは、日本でも中国でも古くから続く通例だ。これは雪の浅い国だからできる楽しみである。私の住む越後のように、毎年何メートルも積もる雪を見ていれば、とてもそんなふうには楽しめない。雪のために力を尽くし財産を費やし、どれほど苦労を重ねているか、これから話すことを聞いて想像していただこう。

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