まずは琉球石灰岩を知ること。
すると、島の成り立ちと沖縄の暮らしの一端が見えてくる。

当たり前のことながら、私たちは大地の上に暮らしている。そして沖縄の大地の3割を覆っているのが目の前にある石、琉球石灰岩だ。

石をよく観察してみよう。貝やサンゴ、有孔虫などの海の生物化石が埋まっているのがわかるだろうか? なぜ海の生きものがたくさん入っているのだろう。琉球石灰岩は、約130万年前から10万年前の海中のサンゴ礁やその周辺の堆積物によってできた石。琉球石灰岩からなる大地は、昔のサンゴ礁が隆起してできているのだ。

琉球列島の島々に人類が渡ってきたのは約3万年前。以来、この島々に暮らす人々は琉球石灰岩などの石をうまく使って生きてきた。たとえば伝統的な家を囲む石垣がそのひとつである。また沖縄にはたくさんの城があるが、その城壁も琉球石灰岩の石積みであることが多い。琉球石灰岩は他の石と比べ、やわらかく、加工しやすい。実は城をイメージしたこの博物館の外壁にも琉球石灰岩がブレンドされている。

沖縄は湧き水が豊富だと言われるのもこの石のおかげ。琉球石灰岩は水を通しやすいが、その地層の下にはクチャと呼ばれる水を通しにくい粘土層がある。そのため琉球石灰岩の地層を通り抜けた雨水は、粘土層との境目に蓄えられて湧き出してくる。沖縄島南部や宮古島など琉球石灰岩の島では、こうした湧き水が人々の暮らしを支えているのだ。

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