なぜ、沖縄では古い時代の人類化石が発見されるのか。

目の前のケースの中には、約2万年前の旧石器時代の沖縄島に住んでいた港川人の復元模型が展示されている。これは、この裏の展示にある港川人1号の全身骨格に基づいて復元されたもの。これほど保存の良い旧石器時代の人骨が発見されるのは、日本のなかでは沖縄だけ。それはなぜなのか? ヒントは琉球石灰岩。琉球石灰岩が分布する地域には、鍾乳洞や、フィッシャーと呼ばれる岩の割れ目が数多くみられる。サンゴのかけらなどからなる石灰岩には炭酸カルシウムが多く含まれている。そのため、石灰岩に形成された洞穴やフィッシャーに溜まった堆積物は酸性になりにくく、その中の骨は風化から保護されるのだ。

港川人1号は成人男性で推定身長は153cm。一緒に見つかった港川人2号~4号は成人女性で推定身長が150cm前後と小柄だ。肩幅が狭く、上半身はきゃしゃであるが、下半身は比較的頑丈で、野山を歩き回って食料を集める移動性の高い生活を送っていたと考えられる。

近年の研究では、港川人の骨からDNAの抽出が試みられており、さらに豊かな情報の解明が期待されている。沖縄県立博物館・美術館では研究の成果が随時展示に反映されるため、この模型は今後さらに大きく変化していくかもしれない。

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