城、その驚くべき防御力。

「グスク」とは城のこと。沖縄を旅する人なら一度は聞く言葉だろう。

城には色々な形があり、その意味合いも地域や時代によって変わる。ここに展示されている城の模型たちは琉球王国統一に向けて、有力者たちが群雄割拠していた戦いの時代のもの。いくつかのポイントで見ていこう。

まず城では建物よりも城壁が大事。本州の城のような「天守閣」を建ててしまうと台風が直撃した時にひとたまりもない。しかし戦いに勝つためには見晴らしが良いことが望ましい。そのため当時の有力者たちは、敵が登れない崖の淵に、さらに石を積み上げ高い城壁を作った。この考え方は中国の万里の長城に通じるところがある。

ところで座喜味城だけは崖の上に建てられていない。なぜか? その秘密は城壁のデザインにある。この形、ヒトデのようではないか? 攻め入ろうとする敵はなめらかな曲線の凹みに自然と寄せられるため、守る方は城壁の上から集中攻撃できる。ヒトデ型の城壁はつまり全方位を完璧に守れるのだ。座喜味城は、城として、崖が必要という地形的な条件から解放され、純粋に戦術的な重要な地点に築かれた革新的な城だった。

しかし、この城は一度もその防御力を示す機会がなかった。座喜味城が完成したのは、約200年続いた戦いの時代が収束に向かっていた頃。座喜味城は城の完成形だったのだ。

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