沖縄では人が死んだらどうするのだろう?

赤い輿のような龕(がん)。沖縄では昔、人が亡くなると棺を龕に入れて担いで墓まで運ぶ風習があった。実はこの龕、組み立て式。村にひとつ、あるいは複数の村でひとつを所有していて、葬式があるたびに組み立てるのだ。

龕が墓へ出発する時には最初に西に向かう。遺体が入っているので重たいが、一度担いだら降ろしてはいけない。村を出るときはシマ、つまりふるさと、との別れの時。死者に最後にシマを見せるために龕を担いだままその場で1周回ったり、そのときだけ地面に置いてお酒を備え、祈りを捧げる習慣もある。そして先頭の人がお祓いをしながら龕はお墓まで進んでいく。

墓に着くと、まずお墓に棺ごといれて風葬し、数年後に棺から出して洗骨する。そして、遺骨は厨子甕に丁寧に納められる。厨子甕の豪華な装飾には、たとえ生前は藁葺き屋根の家に住んでいても、死後はせめて瓦屋で過ごしてほしいという願いが込められている。

最近では火葬が主流になり、龕が使われることも少なくなった。それでも一部の地域では龕を村ごとに大切に保管している。火葬した骨を決まった時期に骨壷から出してお酒で清める、「洗骨」の風習も形を変えながら残っている。

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