Destination: 万座毛

琉球石灰岩がつくる景観の中でも訪ねてほしいのが恩納村の万座毛。海を臨む高い崖の上に広大な野原が広がっている。昔の琉球国王も「万人が座するに足る草原」と称賛したとか。しかし驚くのは早い。その崖の表面は雨水によって溶かされ、下のほうは波によって侵食されている。離れた場所からだと、崖のかたちは象の鼻のようにも見える。そして、そのかたちは今も変化しているのだ。

万座毛まで行けないという人も、海岸や丘で琉球石灰岩が作る地形を探してみよう。おすすめは「きのこ岩」。琉球石灰岩が波によってゆっくりと削られたとき、海面の高さにノッチと呼ばれるくぼみができることがある。ノッチができた岩は、遠くから見ると「きのこ」の形に見えるのだ。

ちなみに沖縄には160の島々が存在する。その陸地面積のおよそ3割に琉球石灰岩が分布しているとすると、残りの7割は? それは琉球石灰岩よりはるかに昔から存在する岩石たち。数は少ないが、火山の島もある。島々の成り立ちはそれぞれに少しずつ違い、性質の違う岩石がその島特有の景観をつくっている。この多様さが沖縄の隠れた魅力。旅先が決まったら、ぜひ「自然史部門展示室」で石の知識を得てから出かけてほしい。

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