ほんとうの見学路

ここから先に道はない。だが、その前にひとつ、ガイドがなければ見落としてしまう秘密の道を教えよう。その道は流れの北側、竹でできた結界を超えた先にある。どうだろう? 芝のない野道が見えるはずだ。

先に伝えておくが、この道は今では景観保護のために入ることができない。この道は作庭当初の園路の一部で、有朋は母屋からこの道を通って客人と庭を歩き、庭について語り合ったという記録が残っている。

現に、無鄰菴を訪ねた美術評論家、黒田天外(くろだてんがい)が、気さくな態度で庭を案内する有朋の様子を書き記している。記事によれば記者を出迎えた有朋は折り目もぼやけた袴を履き、ざっくばらんに話す豪快で気さくな人物として記された。

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