洋館:明治の日本を方向付けた、重鎮4名の会議

洋館の一階は倉庫として、二階は会議室としての造りになっている。現在1階は資料室として無鄰菴庭園の育成管理にまつわる展示が随時行われている。

特筆したいのは2階。有朋が来賓をもてなした客間が当時からそのままの姿で保存されているという。内部を見てみよう。豪華絢爛で狩野派によるものと言われる障壁画のほか、細かな細工が施された格天井で彩られているのが見えるだろうか。

障壁画はこの会議室のために描かれたものではなく、どこか城にあったものを剥がし、切って貼っている。これは、窓周りの図像が途切れている部分などから判断できる。しかし来歴は明らかになっていない。もしかしたら長い歴史のドラマが、ここにも秘められているのかもしれない。

この洋間では、明治期の日本外交のゆくえを決める「無鄰菴会議」が行われた。出席者は有朋のほか、伊藤博文、桂太郎、小村寿太郎のそうそうたる面々。ロシアへの対応が協議された会議で、この後日本が日露戦争へと歩みを進めていく上での重要な会議のひとつである。

話題が話題だけに、そこには緊迫した空気が流れていただろう。平和な庭園の雰囲気とは対照的なエピソードである。

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