2階の床の一部に、歩くと妙にギシギシッと音が鳴るところがある。なぜ音が鳴るのだろうか。ちょっと考えてみてほしい。
 
実はこのギシギシッと音が鳴る床は、戸袋になっているのだ。つまり、1階と2階をつなぐ階段が引き戸で仕切れるようになっているのである。こうした戸、引き戸や開き戸など形状の違いはあれど、増田のたいがいの蔵に見られる特徴だという。しかし、なんのために? 冬の寒さ対策だろうか? それとも火事の際の類焼を防ぐためだろうか? 

蔵につきもののネズミを、入れないようにするための戸。せっかく大切なものを2階にしまっても、ネズミが入って大切な物を荒らさられては困る。そのため、普段はこの扉を閉めっぱなしにして過ごし、ものを取りに行くときだけ、開閉したのだという。単なる床のギシギシッという音にも、当時の人たちの思いが垣間見えるようではないか。

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