ここからは、鬱蒼とした森が続く。
京の内は、首里城の南西部一帯を占めている。城の中にこれほどに大きな森があるのは、それだけ、琉球の人々が聖地を大事にしていたということ。そして王国ができる以前から、自然を崇拝する歴史が連綿と続いてきたことの象徴ともいえるだろう。首里城がいつ建てられたのかは確かではないが、京の内からは琉球王国が誕生する前の遺構も見つかっているため、まず京の内があり、そこから琉球王国の発展に伴い首里城が徐々に拡大していったという説もある。
さて、首里城内には10箇所の御嶽があり、京の内にはそのうちの4箇所があったとされる。名前はわかっているものの、どの御嶽がどの場所にあったのか正確な位置はわかっていない。拝み方もわかっていないが、手を合わせて拝んでいた、神歌を歌っていたなどと、いろいろな説がある。
しかし情報がないからといって、この空間を味わう妨げにはならない。神聖さを感じるには、なによりも体感することが一番なのだから。このガイドを聞いた後はぜひ次のスポットまでイヤホンを外して歩いてみてほしい。風にそよぐ木々の葉の音に、揺れる木漏れ日に、ガジュマルやアコウの木の神秘的なたたずまいに、感覚を開いてほしい。