首里城の奥の世界とは?

歓会門が国王や外国からの客人たちが通る「正門」であるのに対して、久慶門は通用口。国王が寺院を参詣する際にも使われていた門である。日常的には首里城で働く女性たちが出入りしていたと考えられている。女性たちはこの先の淑順門から始まる御内原(うーちばら)というエリアで、女官として働いていた。正殿の東側にあり、国王や王妃とはじめとする王の家族が生活するプライベートエリアだ。

御内原には国王と王妃が暮らす黄金御殿(くがにうどぅん)を始め、女官たちの詰所、王家の料理をつくる寄満(ゆいんち)、浴場と考えられる場所などがあった。中央には後之御庭(くしぬうなー)という広い庭も。これについて、首里城を舞台に書かれた小説「テンペスト」では、”首里城は表と裏が対象になるように二つの顔を持っている。正殿が表の顔なら、黄金御殿は裏の顔だ“と表現している。

黄金御殿は、国王以外の男性は入ることは許されなかった。規則を破ったものは、流刑になるなどの厳しい罰則があったという。そして、この御内原での生活や、女中たちの様子については、あまり記録が残っていない。

表からは見えない首里城の奥。そこには知られざる女たちのもうひとつの世界が広がっていたのだ。

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