伝説に登場する少将は、この後で見る「極彩色梅匂小町絵図』(ごくさいしきうめいろこまちえず)にも描かれています。また後ほどご紹介しましょう。

さて、この伝説には、別のオチも伝わっています。この写経の間で、小町の姿絵を写すかたわらに、彼女の話に耳を傾けてみましょう。

 *

九十九日目の夜のこと。その夜、京の町には大雪が降っていた。脚の悪い少将さま。こんな雪の中をやってくるなんて、なんとおいたわしや……。今宵は、門を開けて少将さまをお迎えしましょう。満願の百日目まで、あとたった一日。大雪をものともせず訪れて下さるのなら、一日くらい早めても構わない。

ああ、少将さま! こんな雪の中、よくぞご無事で。さあ、早くお上がりください。今宵はもう、よいのです。さあ、こちらへ……おや、そなたは誰? 何、深草少将さまの従者であると? なんと私を出し抜いて、こっそり従者を通わせていたのね! もうっ、しょせん男なんて、こんなものよね!

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