まずはじめに、坐禅の体験からスタートしたいと思います。とにかく座ってみましょう。開山堂の縁側に設置してある、座布団に腰掛けてください。靴を脱ぎ、自由に座ってください。必ずしも足を組まなくても縁側に腰かけるだけで構わないです。

大切なのは自分が楽で、リラックスできる姿勢。背筋を伸ばしてみましょう。腹式呼吸のようなイメージで、胸で呼吸するのではなく、おへその下にある、丹田と言う場所に意識をもって呼吸を、鼻のみで繰り返してください。ひたすら、ゆっくり、ゆっくり長く吐いて、一気に吸う。それを繰り返します。座った状態で、息をすったり、吐いたり、その出入りを感じましょう。

ここからはおよそ8分間、座禅をした状態でゆっくりと呼吸をしていきます。

さ、いいですか。息をすって吐いて。すって、吐いて。
その様子をただ、観察してください。あなたのペースでかまわないです。

視線にも注意してみてください。あまり目を開きすぎても光が邪魔になるし、閉じれば雑念が増えます。まぶたを半分閉じて半眼にしてみてください。

ここからは実践です。禅では、数息看(すうそくかん)という方法がありますが、それを体験していきます。

吐く時にひとーーーーーと言って、吐き、そしてすこし止めて、「つー」というときに吸います。次に同じやり方でふたーーーーと言って吐き、すこし止めて、つーで吸います。このとき、呼吸は鼻からすることを意識しましょう。吐く方を長く、吸う方を短く、吐くのと吸うのでは、7:3くらいの感覚で行います。

そして順番に10(とお)まで数えます。このように数え、10(とお)に到達したらまたひとつから数えます。途中で他の事を考えたり集中力を失ったりして数字が分からなくなっても心配しないでください。シンプルにひとつからリスタートしましょう。

まずは吐きます。ひとーーーーーつ。吸って、すーーー。はきます、ふたーーーーーつ。そして、また、吸って、すーーー。どうぞ、やってみてください。



〜数分〜

集中できない、と自分を追い詰めていませんか?追い詰めずに、ただただ、呼吸に集中しましょう。他に意識が入ってしまっても大丈夫。また呼吸に戻ることを繰り返します。

〜さらに数分〜

呼吸に意識を向けながら聞いてください。
今、たった今も、もしかしたら、雑念のような思考にとらわれてしまう、と思うかもしれません。それでも大丈夫です。呼吸とともに考えも出たり入ったりします。それはとても自然なこと。その考えや、思考の出入りする様子をぼんやりと眺めてみましょう。

〜さらに数分〜

どうでしたか?引き続き、呼吸に意識を向けながら聞いてください。
坐禅によって体と呼吸が整えられることで心も整えられ、自分の心も澄んできます。 つまり「無の心」に近づくのです。「無の心」とは何もないということではなく、例えるなら水のようなもので、どんな形にも順応し「かたよらない」「こだわらない」「とらわれない」心のことです。 坐禅をするのは、そういった柔らかな心を養うのに最も良い方法です。

どうでしたか?どんなことを感じましたか?
日常にいるのとは違ってゆっくりした世界で、普段気づかないところに気づくことが多いものです。だから今日ここ禅と庭のミュージアムでは、歩くスピードを落としてください。そのほうがよく見えますから。

Next Contents

Select language