伊勢堂岱縄文館では伊勢堂岱遺跡で発掘された土器や土偶が展示されている。まずは「板状土偶」を見ながら「想像をふくらませること」の準備運動からはじめてみよう。

伊勢堂岱遺跡で見つかった土偶は、そのほとんどがバラバラの状態だった。しかし、たったひとつ、完全に復元できた土偶がある。それが「板状土偶」である。はたして、この土偶は何を表しているのだろうか。

たとえば、「おっぱいがあるから女性だ」という人がいる──新たな生命を産むことができる女性。その神秘を土偶で表現することで、命がけの出産や死亡率の高い赤ちゃんの無事を祈るだけではなく、病気や怪我からの再生、自然の恵みに対する祈りにも使われた──というのはよく聞く話。

一方で、「肩幅があるから男性だ」という人もいれば、「土偶はヒトならざるもの、精霊のような存在を表現している」という人もいる。正解はないのである。あなたにはどう見えるだろうか。

そして、もうひとつの謎。はじめに土偶がバラバラであったとお伝えしたが、縄文人はどうやら“わざと”バラバラに打ち砕いてから地面に埋めていたようなのだ。なぜ、土偶をバラバラに壊す必要があったのか。その行為にどんな想いを託していたのか。続きは、実際の遺跡を歩きながら考えてみよう。

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