さて、この場所で少し立ち止まり、あたりを見回してみてほしい。

広大な伊勢堂岱遺跡のなかで、ストーンサークルはこの場所に集中している。北の先端にあたるこの土地は、もともと起伏がある場所を、わざわざ土を盛って平らにした。もっと南のほうに平たい土地はたくさんあるのに、だ。ストーンサークルを作るために、たいへんな労力を使って大規模な整地を行ったという事実。ここに、当時の縄文人の「ここでなければ!」という強いこだわりが感じられるのだ。

縄文人はなぜ、この場所にこだわったのか。北の先端からさらに北側の風景を眺めると、広大な盆地の向こうに壮大な「山並み」が見える。世界自然遺産の白神山地である。もしかすると、縄文人は盆地から山並みまでの「見えている範囲」を「世界」と捉えていたのかもしれない。つまり、この場所は「自分たちの世界のすべてが見渡せる場所」だった。そんな場所こそ、ご先祖様を埋葬するのにふさわしい場所だと考えていたのかもしれない。

縄文人はなぜ、この場所にこだわったのか。あなたも想像をふくらませてほしい。

Next Contents

Select language