本来、ナマハゲは大晦日の晩にしか現れないものだ。昭和20年代までは、ナマハゲ行事は旧暦の小正月である1月15日に行われていた。現在では、観光客である私たちもナマハゲと出会える機会がある。その一つが、真山神社(しんざんじんじゃ)で催される「なまはげ柴灯(せど)まつり」だ。

この祭りは、真山神社に古くから伝わる神事と民俗行事のナマハゲとを掛け合わせたもので、1963年(昭和38年)から始まった。毎年2月の第2土曜日を含む、金曜、土曜、日曜の3日間にかけて開催される。

柴灯とは、すべての煩悩を焼き消す清らかな火である。祭りでは、境内の中央にたかれたこの聖なる火で大きな丸餅を焼き、神の使者であるナマハゲに捧げる。餅を捧げる献餅(けんぺい)の儀式の前には「なまはげ踊り」や「なまはげ太鼓」が盛大に催される。

もともとの柴灯祭(せどまつり)は、900年以上前から続いている神事である。神事としての柴灯祭は現在でも、なまはげ柴灯まつりとは別に、毎年1月3日に続けられている。こちらの柴灯祭も真山神社境内にて柴灯火がたかれ、この火で炙られた大餅を山の神に献上する儀式である。この餅を受け取るために下山してくるナマハゲは、山の神の使者「神鬼」の化身だと言われている。

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