※ここは「お山かけコース」の起点であり、五社堂に行くための999階段の1段目でもある。
海から男鹿半島を眺めると、二つの山がまるで海中に浮かんでいるかのようにみえる。その一つが真山(しんざん)であり、もう一つが本山(ほんざん)である。これらの山は、神の住む「お山」と呼ばれ、信仰の対象とされてきた。古くから山伏が修行をする修験道としても知られている。真山、本山と名付けたのは、平安時代に熊野信仰を伝えた山伏であったと言われている。真山神社から真山の山頂へと登り、本山を越えて毛無山(けなしやま)を抜け、五社堂へと下る登山道を行くことを、熊野詣にちなんで「お山かけ」と呼び、江戸時代には山伏だけでなく、庶民も登拝するようになった。現在でも、初心者から中級者向けのトレッキングコースとして親しまれている。
真山神社の神事である柴灯祭(せどまつり)は、かつては本山側の神社でも行われていた。熊野信仰を伝えた修験者は、真山と本山を鏡合わせのようにして、二つの聖域をつくろうとしていたのかもしれない。
異様な格好で山を駆ける修験者がナマハゲのモデルとなったのだろうか? 年に一度山を降り、訓戒を与えて予祝をし、山へ帰っていく。その姿は確かに、どことなく山を降りて祈祷する山伏を連想させる。それに、地区によって呼び名も仮面もしきたりも違うナマハゲ行事が、なぜ同じ日に男鹿半島一体で行われるようになったのか。その謎も、お山に住む修験者が仕組んだとことだと考えれば説明がつくかもしれない。しかしすべては、想像の域を出ない。