どうでしょう? 「うがみんしょーらん」は使えましたか? 「こんにちは」でもよいのです。「こんにちは」と言えば、「こんにちは」が返ってくる。おまけに必ず「ニッコリ」がついてくる。リアル顔文字。それが秋名の気持ちよさ。あるいは「うがみんしょーらん」と声をかければ、「はげー!XXXXXXX!」と言われたかも知れない。

「はげ〜!」は驚いたときに出る言葉。「あっ!」とか「え!?」とか「おおー!!」とか。島言葉ではぜんぶ「はげっ!」「はげ!?」「はげー!」と言う。とっさに出る言葉だから、あなたの町で「はげ〜」と漏らした人がいたらそれは奄美の人に違いない。

さて、琉球石垣を見たときに漏らす言葉といえば、もちろん「はげ〜!」である。高さ3m、全長およそ70m。なぜ、こんなに立派な石垣があるのか。実は、かつての秋名は「小さい那覇」と呼ばれるぐらい栄えていたのだが、とある豪農が屋敷を建てるにあたり、沖縄から石垣のプロを呼んで築かせたと伝えられている。それを江戸末期に伊東家が買い受けた。伊東家は初代龍郷村の村長になるほどの名家である。

石垣の奥にある屋敷には、伊東キクエさんというお花が大好きな女性がつい最近まで住んでいた。しかし、残念ながら105歳のお年で亡くなったという。敬意を持って立ち入りは遠慮しておこう。

〜秋名こぼれ話〜

とある豪農とは「麻 福栄志」という人物。実は、背後の山の奥に「ナアノ(地名)の一本桜」と呼ばれる桜がある。その桜は麻家が植えたといわれ、こんな伝説が残されている。

山がちな奄美大島では、生きるための知恵として、あえて人目につかない山の中でサトウキビを育て、支配者からの課税を逃れていた。そのような畑を「隠れ畑」と呼び、収穫されたサトウキビは闇ルートでさばいていた。謎の一本桜は、その花が咲くころにサトウキビを収穫するという、一種の目印のために植えたのではないかといわれている。そして、その伝説を裏付けるかのように一本桜のそばにもうひとつの石垣があるという。

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