一本杉通り商店街には団結力がある。昔は「能登の銀座」と言われるほど一本杉通りで商売をすることがステイタスだったので、たくさんの地域から人が集まった。そのため何十代も続いた店舗はなく、今は長くても四代目、五代目の主人や女将が多い。だからこそ一本杉通りの人々は対等であり続ける。
「人との出会いを一回では終わらせない」「人と人との繋がりを大切にしたい」。女将や主人が、共通して話していた言葉だ。ドラマ「花嫁のれん」の放送や花嫁のれん列車の誕生も、そういった人との繋がりが根本にあったのだろう。
母の娘への思いは、結婚するまでぴんとこないことが多い。私は子どもの頃から母と喧嘩ばかりしていたが、結婚した際、私の好きな色に彩られた綺麗なオリジナル印鑑を母からもらい、自分は母に大切にされていたのだと知った。私にとっては印鑑、七尾の女性たちにとっては花嫁のれんが母の娘への愛を語るものなのだ。
母親の思いは次世代に受け継がれていく。花嫁のれんは残り続けるという確信が、取材を終えた私の胸に広がっていった。
ON THE TRIP 編集部
企画:志賀章人
文章:若林理央
写真:本間寛
※このガイドは、取材や資料に基づいて作っていますが、ぼくたち ON THE TRIP の解釈も含まれています。専門家により諸説が異なる場合がありますが、真実は自らの旅で発見してください。