植物の知恵をインストール。
ここでは「なりきる力」を、ランから学びます。
誰もが日常で一度は目にしたことがあるランの花。華やかな雰囲気で、「幸せが飛んでくる」を花言葉にもつコチョウランはお祝いの定番の花です。
コチョウランはラン科に属する植物です。現存するラン科の植物は約2万5000種ととても多く、なんと地球上の花をつける植物のうちの約1割をも占めています。なぜ、そんなにたくさんの種類があるのでしょうか。実はランは、さまざまな環境に順応するために、それぞれが独自の姿形へと進化し、これほどの繁栄を遂げたといわれています。その独特の進化の方向性の1つは、姿を似せること。実は、ランは植物の中で、もっとも擬態能力の高い種類なのです。
ラン科の植物は、いかにして自分の花粉を運んでもらうかに命をかけています。花粉を運んでくれるのはチョウやハチなどの昆虫です。ランは自分の花粉の運び屋になってくれる昆虫を選び、彼らがもっとも魅力を感じるものになりきるのです。
たとえばある種のランは、ハチを運び屋に選び、雄を魅了すべく雌になりきります。形だけでなく、組織の硬さ、表面の様子、匂いまで、徹底的に真似します。
時にその擬態は現実をしのぐほどリアル。雄バチは、雌バチと交尾しているつもりで、花の中に入っていきます。そして、知らぬ間に体に花粉をつけ、その体でまた同じ種類のランの花のなかに入ることで、花粉の運び屋となるのです。
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コチョウランは、チョウが舞っている姿に見えたことから、その和名が名付けられました。もしかしたらチョウに擬態している進化の途中なのかもしれませんね。
理想の姿を思い描いて、変化していく力。これを、ランからインストールしていきましょう。
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では、目を閉じてみましょう。ゆっくり深呼吸します。
あなたが尊敬する人、もしくは憧れている人のことを思い浮かべてください。
いまからいくつか質問をしますので、 それぞれについて20秒ほど静かに考えてみてください。 どんどんその人のことを思い浮かべて、その人になりきれるくらい想像を膨らませていきましょう。
それでは、はじめます。
・その人が朝起きて1番先にやることは?
・マグカップの持ち方は?
・どんな本、あるいはサイトを読んでいる?
・寝る前の習慣は?
いかがでしたか? 尊敬している、憧れているといっても、その人のしぐさや習慣までは思い浮かべられなかったという人もいるかもしれません。
日本語の「学ぶ」は「真似ぶ」つまり真似することからきているとも言われています。真似というと、つい「パクる」あるいは「盗む」といったネガティブな想像になりがちですが、本当に真似るということは、その人をすごく観察することに他なりません。
誰かの生活や立ち振る舞いを実践してみる。それは相手を理解したり共感したりすることにもつながります。またあなたとあなたの理想とする姿とのギャップに気づく機会にもなるでしょう。ギャップは成長の機会。自分の癖から脱却し本当になりたい方向に進むことが、できるかもしれません。
たとえばある1日、理想の対象になったつもりで相手の隅々までを真似て過ごしてみるのはいかがでしょう? ランのように誰かになりきってみることで、あなたも新しい自分の可能性を発見してみましょう。