植物の知恵をインストール。
今回は「溜める力」をバオバブから学びます。
アフリカやマダガスカルの木として知られるバオバブ。
なかなか日本でお目にかかることはありませんが、熱帯ドリームセンターではこの場所で種から育った貴重なバオバブを見ることができます。手前が屋根の下で育ったバオバブ。奥が雨ざらしで育ったバオバブ。雨があたらない環境で育ったバオバブの方が、少し幹が太いことにお気づきでしょうか?
バオバブはもともと乾燥地帯で育つ木。とにかく水を体内に溜めることに集中してきました。
木の幹というのは、ふつうは風などで倒れないように細胞がぎゅっと詰まっているものですが、バオバブの幹は水を貯められるようスポンジのような繊維質になっています。強度が足りなくなってしまう分は、ずんぐりと太くなることでカバー。体の体積が大きくなればより水も溜められますよね。さらには水分が蒸発しやすい枝や葉っぱをできるだけ少なくしています。代わりになんと幹の樹皮でも光合成ができるようになっているのです。そうやって進化したバオバブは、体内に大きいものでは10トンもの水を蓄えることができ、雨の降らない時期を凌ぐことができます。
バオバブは自分を育んでくれるものを内側に溜めている植物。この溜める力をバオバブから学んでいきましょう。
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まずはバオバブに触れてみてください。そして幹を抱きしめてみてください。30秒ほど、ゆっくりやってみましょう。それでは、スタートです。
どんな感じがしますか?
すべすべしていますか?
柔らかいですか?
気持ちがいいですか?
静かな気持ちになりますか?
体の感覚をひらいて、感じてみましょう。
抱きしめた幹の中にはバオバブが生きていくために、必要なもの、つまり水が溜まっています。それでは、人が生きていくために必要なものはなんでしょう?
生活の中で衣食住も必要ですが、他にも必要なものがあります。それが自分を愛することです。
「ご自愛ください」と誰かが声をかけてくれる時、ただの社交辞令と受け流していませんか? 実はこの自愛こそが本当は大事なことなのです。つらいことがあっても自分を肯定する気持ちや愛が貯まっていれば、人は穏やかさを保つことができます。バオバブがたとえ雨が降らなくてもそこに立っていられるのと同じですね。
ところで自愛とはどんな感覚なのでしょう? バオバブを抱きしめている感触。もしこれが気持ちいいな、素敵だなと思えていたら、それはすでに自愛にも繋がっています。自愛を言い換えてみると、自己肯定やインナーピースとも言えます。それは心が穏やかな状態のこと。つまり、なにか素敵なものに触れて、穏やかな気持ちになることで、溜めていくこともできるのです。
バオバブに触れた手の中、そこにあなた自身への愛が溜まっている様子をイメージしてください。そしてその感覚を時々思い出してみてください。公園などで大きな木に出会ったら、そっと抱きしめて、この感覚を思い出してみるのもいいかもしれませんね。