長く焦がれた屋根

次にあなたがたどり着いたのは、近年の民家だ。宝物はどこにあるだろう?屋根を見てみてほしい。赤瓦が敷かれている。

沖縄の家といえば、この赤瓦を想像する人が多いのではないだろうか。

赤瓦は美しいだけでなく、台風が多く、日差しの強い沖縄にうってつけの屋根だ。
材料は沖縄で取れる泥岩で、鉄分を多く含み、素焼きでゆっくり焼くと赤くなる。この瓦、雨をよく吸ってくれて、強い日差しの下でも割れにくい。丸い山型の瓦と平らな瓦を交互に組んでいるのは、屋根裏の温度上昇を防ぐためで、瓦が飛ばされないよう隙間に漆喰を塗っている。まさに沖縄が生んだ、沖縄のための屋根だといえる。

しかし、この美しく機能的な赤瓦は、実は沖縄の庶民にとって長いこと手の届かない存在でもあった。

赤瓦が最初に使われたのは首里城の屋根。17世紀後半のことだった。その頃、瓦はとても貴重だったため、城の他には社寺仏閣・士族など限られた人にしか使用を許されなかった。この建築規制が取り払われたのは、明治時代に入ってからのこと。しかし瓦が高価なことには変わりない。茅葺き屋根で日差しや台風を凌ぎながら、いつか赤瓦の家を建てたいと、当時の人たちは夢見ていたことだろう。

青空に映える紅白の屋根。この風景は沖縄に生きる人たちの叡智の結晶であり、「赤瓦でマイホーム」の夢が少しずつ結実していった証でもある。まさに沖縄の人々にとっての宝物なのだ。

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