金色の小さな丸薬を噛み潰すと、苦みとわずかな清涼感が口の中に広がった。吉田松花堂の諸毒消丸は、幕末期に熊本をひどい疫病が襲った際、たくさんの人々を救ったという奇跡の薬だ。その効能は評判を呼び、日清戦争や日露戦争の際には出征する兵士に持たせるため多くの人が買い求めたという。

薬は消化不良などに効果があり、今でも常備薬として人々の心の拠り所になっている。西南戦争の直後に建てられたという時代がかった建物も、長く親しまれ続ける歴史を伝えているかのようだ。

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