Entô──この言葉を舌の上で転がしてみてほしい。どのようなイメージが広がる言葉だろうか?

遠島。それは、都から遠く離れた島。それも昔、遠島という言葉は罪をあらわし、都の人たちにとって島流しの憂き目にあうことの恐れや悲しみを抱かせる言葉だった。しかし、この島の人たちにとっては違う。後鳥羽上皇のような高貴な人たちが「来てくれる」。そんな喜びや誇りに満ちたポジティブな言葉だった。

あなたにとってはどうだろう。無味無臭、無色透明な言葉だろうか。言葉の響き、その奥に広がるイメージに感覚を研ぎ澄ませてみてほしい。

ホテル・Entôの「えん」はご縁の「縁」。Entôでおこなわれる焚き火の様子を見て、ご縁のある燈火という意味で「縁橙」をイメージした人もいる。はたまた、水平線の向こうに見えるイカ釣り漁船の漁火をイメージして、遠くの灯り=「遠灯」を連想した人もいる。

音だけではない。Entôという表記を見たとき、ôに点がついているのはどのような意味があるのだろう。山か、家か、人か、あなたか。いずれにせよ、地球に比べて見れば小さきもの。地球にぽつん。そんなイメージがふくらんでくるかもしれない。

果たして、この旅を終えたとき。あなたの心の中に残る風景はどのような一枚となるのだろうか。

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