Entôの別館Nestを探索してみよう。そして、いつものホテルと異なる点を探してみてほしい。それも、ふつうのホテルには「ある」のに、Entôには「ない」もの。そんな視点で探してみると、どんなことに気がつくだろう。

たとえば、Entôの窓から見える景色に人がいない。人工物もほとんどない。建築においても、装飾がない。柱もない。窓しかない。余分なものがないことで浮き彫りになるのは「むきだしの地球」。まるでジオパークの風景の中に自分がいるような感覚を呼び起こす。

つまり、境界線がない。Nestにはフロントを通らなくても行き来ができる。屋内か、屋外か。プライベートか、パブリックか。島民か、観光客か。いろんな境界線がSeamlessに消えていく。

2階のテラスにも、ふつうならあるはずのベンチやテーブルがない。しかし、足元をよく見ると数字が描かれている。そのことに気がつけば、テラスで小さなジオの旅を楽しむことができるのだが、その存在を示す立て札も何もないのである。

建築だけではない。お泊まりの部屋に置かれているすべての物がEntôからの小さな問いになっている。あなたは、どんなことに気がつくだろう。

建築にデザインをしすぎないことで風景が際立つように、あえて無くすことで本当に大切なものが見えてくる。あなたの場合はどうだろう。この旅で「何をするのか」ではなく「何をしないのか」。そのことを1分間、考えてみてほしい。

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