隠岐はユネスコ世界ジオパーク。では、ジオとは何だろう? Geo Roomの展示を見ながら考えてみてほしい。

ジオとは単なる地層や岩石のことではない。それらが現在の暮らしにどうつながっているのか。そこに至るまでの物語こそがジオである。そう考えてみてほしい。具体例をひとつ、あげてみよう。

46億年前に誕生した地球。その大地はかつてひとつの大陸であった。やがて大地に亀裂がはいり大陸移動がはじまる。日本列島もまた、はじめは大陸の一部であったが、地殻変動によって大陸と切り離されて日本海が誕生した。

あるとき、日本海で火山が噴火する。そして、ふたつの島が生まれた。はじめは双子のようにそっくりな島であったかもしれない。しかし、片方の島の中央部でさらなる噴火が起きた。それが陥没してカルデラとなり、海の水が流れ込んだ。そうして、カルデラの外輪山は3つの島に分かれた。この3つの島が島前の3島である。その後、この海士町がある中ノ島ではもう一度、噴火が起きた。その溶岩が地形の凹凸を埋めるように流れて固まり、島前で唯一の広い平野ができた。

人類が誕生するのはそのあと。この島に辿り着いた人たちは、やがて奇跡のような平野を見つけて田んぼを育てるようになる。そうして食うに困らない豊かな島であったからこそ、高貴な人の流刑の地として選ばれることになり、そうしていろんな人を受け入れてきた風土が、現在の移住者の多さや旅人に対するフレンドリーさにつながっている。

このように、あなたも。大地をきっかけに現在につながる物語を想像してほしい。

あなたはなぜ隠岐に、なぜ今ここにいるのだろう? そのことにも、一言ではあらわせない、長いつながりの連鎖が見いだせるかもしれない。偶然の奥にある理由をさかのぼり、考えてみてほしい。

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